平成15年4月19日(土)
出前講座「市民主体の国際交流」
                        講師:堺市市長公室国際文化観光課 澤田克生主査
1   日時   平成15年4月19日(土)2時〜3時30分
2   場所   堺市民センター
3   出席者   国際担当主幹 澤 正行様、松下朱弥様
     岡田、前田、木下、池側、呉竹、志摩、青井、山崎、石原、中西、
4   講師紹介  
 
平成4年入所、総務経験1年を経て、教育委員会の管理・教育政策などを歴任(O-157等で赤澤会員などと対策に奔走)、1995年開催のAPEC会議のプロジェクトに堺市から派遣される。その後、(財)自治体国際化協会(東京で1年研修の後、英国で2年間の実施研修を受ける)に派遣され、平成14年から国際文化部に配属。現在に至る。
5 講演内容
    5-1 ● 地方自治体の国際化
    ・ 地域の国際化
       国際交流を担当している国の管轄は外務省、総務省(前の自治省)文部科学省の3つであるが、地方自治体の国際交流は総務省が主管となっています。
@   国際交流
  地域の国際化には、国際交流と国際協力の2つの流れがあり、国際交流は相互理解が目的であります。
A   国際協力
  国際協力は援助が主体であります。政府管轄ではODA、民間ではNGO,NPOが活躍しています。
     http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/
NGO支援     http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/seisaku/seisaku_4/
http://www.npo-sc.org/
B   内なる国際化
  内なる国際化とは、共生であります。海外からの居住者が、住民として共に暮らしていくことです。英米系の人たち、例えば英会話の先生たちが最近たくさんこられています。また、アジア系の方々も中国、ベトナム、韓国などの方々が多数見かけられるようになりました。言葉や文化の違った人たちが暮らし始めると、いろいろな摩擦が起こります。コミュニティと住民の間に入ってNPO法人の方々が、調整役を勤めてくれるようになりました。内外人は皆平等であるということが大切な精神なのです。
*   JETプログラム・・・中学校へ語学の先生などの派遣
  外務省、総務省、文部科学省と(財)自治体国際化協会が協力して実施している。資格は35歳までの外国人で契約期間は3年間。平成14年度で38カ国から6238名を3190の自治体に派遣(平均2名/自治体)
将来的には小学校にも派遣を考えている。
  JETプログラムは、「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略称で、地方公共団体が総務省、外務省、文部科学省、および財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下に実施しています。
 このプログラムは、外国語教育の充実と地域レベルの国際交流の進展を図ることを通し、わが国と諸外国との相互理解の増進とわが国の地域の国際化の推進に資することを目的としています。
  詳しくは、こちらをCLICK。
  ・ ALT ・・・ 外国語指導助手(Assistant Language Teacher)
  生きた外国語が学べるという利点があります。現在堺市で15人、40校に派遣しています昭和42年に文部科学省(当時文部省)で始めました、テレビでおなじみのダニエル・カーンさんもJETプログラムで日本へ来ました。
  ・ CIR ・・・ 国際交流員(Coordinators for International Relations)
  姉妹提携都市のウエリントンから1名、堺市役所で研修しています。
  http://www.cirhomepage.org/cirjpn.html#CIR
  ・ SEA ・・・ スポーツ国際交流員(Sports Exchange Advisor)
  オリンピックに順ずる記録保持者によるスポーツ指導が目的です。全2項と比べて技術力が主ですから、英語圏ではない方々が多く、通訳をつける必要があります。堺も大阪国体の時の強化のためにロシアなどから招聘しました。
*   REXプログラム 
  文部科学省(文部省)が平成2年度から総務省(自治省)、地方自治体と協力し、全国の公立中学校・高等学校の若手教員を対象として海外の日本語教育を行う中等教育施設に2年間派遣する「外国教育施設日本語指導教員派遣事業」。
平成10年で21名の参加者があります。
http://fish.miracle.ne.jp/w-marian/
*   財団法人 自治体国際化協会
  地域における国際化の気運の高まりを受け、こうした動きを支援し、一層推進するための地方公共団体の共同組織として昭和63年7月に設立されました。都道府県における国際化の大綱を作成し、人、もの、基盤作りを3つの柱としています。
地方自治体の職員で構成されているもので、1年間東京で言葉の研修を終えた後、海外へ行って、外国の地方自治の業務などを自治に研修する(期間は2年)ものです。1年毎に、メンバーは総入れ替えをします。
http://www.clair.or.jp/
  ・ 地域の国際化年表
    1955年
昭和30年
  姉妹都市提携第1号(長崎市とセントポール市)
       12月7日ニューヨークの国連事務局から働きかけがあり、原爆を落とされた長崎市長とミネソタ州のセントポール市長との間で、世界の平和を願って、合意に達しました。
    1960年
昭和35年
  都道府県姉妹提携第1号(東京都とニューヨーク市、山梨県とアイオワ市)
    1977年
昭和52年
  (財)神奈川県国際交流協会発足、以降各都道府県、政令指定都市で次々に発足
    1987年
昭和62年
  JETプログラム始まる
    1989年
平成元年
  自治省(当時)「地域国際交流推進大綱策定の指針」を策定
地域国際化協会の認定始まる
    1990年
平成2年
  REX計画始まる
    1991年
平成3年
  地方公務員がPKO活動に初めて参加(アンゴラ)
    1994年
平成6年
  地方公共団体の姉妹都市提携数が1000組を超える
    1995年
平成7年
  自治省「地域国際協力推進大綱策定に関する指針」を策定
    2000年
平成12年
  自治省「地域国際交流推進大綱及び自治体国際協力推進大綱における民間団体の位置づけ」を発表
    ・堺市の場合
    1967年
昭和42年
  11月神戸で、日米市町 商工会議所の会が開催され、堺の高校生がバークレーを訪問する話がまとまり、それをきっかけとして堺市とバークレー市の姉妹都市提携が成立。その後、36年間交流が続いています。
    1983年
昭和58年
  大阪府泉北港と連雲港港との友好提携がきっかけとなって、堺市と連雲港市の間にも、友好都市提携が成立。今年が20周年となり、10月に連雲港市でメインの式典が、また堺市においても経済セミナーや弥生文化と徐福に関するセミナー(堺なんや衆の企画)などの記念式典が予定されています。
※(英米系では姉妹提携(Sister City)といいますが、中国の場合はお国柄で、どちらが姉か妹かとの議論なども出て、友好都市提携となりました)
    1994年
平成6年
  関西国際空港開港に伴い、ニュージーランドのウエリントンからの直行便が開通する関係で、歴史的背景の良く似た堺市とウエリントン市との間で、姉妹都市提携が成立。今年は10周年を迎えようとしています。
    総括   堺市では、こうした訪問団の派遣事業のほかに、関西国際空港開港記念泉州国際市民マラソンには、毎年バークレー市、連雲港市とウエリントン市から招待選手を招いて参加しています。また、3友好・姉妹提携都市と堺市の幼稚園園児による絵画の展示会なども実施しています。
  ・予算   平成11年度の国の予算は総額1,143億円、地方公共団体の総予算は1億788万円となっています。
5-2 ● 国際交流(姉妹都市交流)
  国際交流のステータス(三種の神器)は@財団化を図り、A基金を持ち、B姉妹都市提携を実施することとされています。
現在自治体の姉妹提携は全国934の自治体で1430件成立しています。
また、国の姉妹提携では多い方から中国、アメリカ、ブラジル、韓国の順となっており、地方の提携では、アメリカ、中国、オーストラリア、韓国の順となっています。
また、最近では韓国、中国はエリートを養成し、韓国はJETプログラムに力を入れ、鳥取や富山との日本海を挟んでの交流が盛んで、中国は九州に上陸し、いろいろな戦略を掲げて進出を目指しています。
    ・ 姉妹都市交流の歴史と意義(1950年〜)
*   第2次世界大戦修了  平和  紛争予防
  最近では、軍事と外交が国のやることで、それ以外は地方分権への風潮がありますが、第二次世界大戦終了時の混乱を避け、世界の平和と民族紛争の予防のために姉妹都市提携の提唱がアメリカ、フランスなどでなされました。
@   アイゼンハワー前大統領が「People to People」の標語を掲げ、市民相互が結びつき、相互理解のうえで世界平和へつながるようにと提唱しました。
A   主として東欧を支援する目的で、フランスの提唱により、国際姉妹都市連合を結成し推進したものがあります。
B   地方ではニューヨーク市民が立ち上がり物資を送ったという例もあります。
    ・ 意義の変化(1990年〜)
*   交流 → 協力 へ
  日本の復興が目覚しく、経済力も豊かになったこの時期、海外旅行や、インターネットによる情報の入手が容易になり、交流の意義が薄れ始めてきました。国際交流から支援を目的とした、国際協力へと意識が変わってきました。阪神大震災を期に民間のボランティア団体の動きも活発になり、NPO、NGOが活躍を始めました。政府もODAで発展途上国を支援するようになりました。
    ・今後の交流のあり方
@   アフガン復興支援でNGO組織と鈴木宗男さんの問題などは記憶に新しいところだと思いますが、民間の国際交流団体の動きが国内外で認められるようになりました。
1990年代は失われた10年ともいわれています。どの地方自治体もバブルがはじけ、財政難が深刻になってきており、国際交流活動にも費用対効果ということが盛んにいわれています。自治体の支援にも限界が見えてきました。国際交流・国際協力推進大綱にも民間に主導権を回して、行政がサポートするという方向での見直しが要求されています。すなわち、民間主導によるパートナーシップ交流などで、市はそのきっかけ作りをするということです。
A   市民主体の民間交流では、似たような環境を持っている地域同士、また、テーマ別の交流、例えば大阪市の場合、ビジネスパートナーシップと題して、企業の誘致、物産展の開催などを実施しています。また、北方都市会議と称して、青森市や北海道の滝川市とハバロフスクなどの寒冷地方では防災対策として、雪崩をどう防ぐかなど、生活改善のための交流なども行っています。また京都市では世界の国々50〜60カ国で歴史都市連盟を作っています。
B   地域の活性化、地域のアイデンティテイ、例えば徐福と弥生時代や陶磁器など、自分の町を愛することから国際化が進むともいわれています。
C   最近では、国際交流活動の意義が、地域住民の意識改革、閉鎖社会をなくす、相互理解を深める、街づくりに資するということが要求される時代になっています。
D   行政の動きも、先導から支援へと変わりつつあります。
E   今後は、民間と行政の間に立って支援する組織である、(財)地域国際化協会の役割が重要になります。地域国際化協会は場所や資料やノウハウを市民に提供することが可能です。堺市では、現在、新庁舎の2期工事が進んでいますが、その中に国際交流のスペースを設ける予定でいます。市民が誰でも使える、使いやすい、便利なものにしようと考えています。
F   市は言葉の面での対応や、外国人と地域住民との摩擦の解消、相互理解のための支援、などを主体に考え、誰もが阻害されることのないように、市民のみなさまと一緒に国際交流・国際協力活動を進めてゆきたいと思います。
6 質疑応答
@   REXプログラムについて国際交流基金でも同じことをやっているが、別物か?自治体国際化協会は堺市にあるのか?また、今後作る動きはあるのか、堺市に在住の外国人は何名か?(呉竹理事)
答え   REXプログラムはJETプログラムの一環で国際交流基金やJICAとは違います。
自治体国際化協会は堺にはありません、大阪府には国際課の中に支部があります。また、財団法人大阪府国際交流財団がその役割を果たしています。
現在堺に住んでいる外国人の数は1万1千人で半数以上が在日韓国人、次いで、中国人、ブラジル人などです。中国人のコミュニティが団地1棟を占め、地域住民との文化の違いなどで、地域のNPO法人が間に入って共生社会の実現のために力をつくしていただいています。
http://www.jica.go.jp/Index-j.html
    http://www.jpf.go.jp/j/
A   国際交流がこのように活発になされているということを知らなかった、市が先導的役割を果たした事業や効果について教えて欲しい(青井会員)
答え   内なる事業として、南大阪地域留学生との交流事業、朝鮮学校主催のインターピープルカーニバルなどに講演名義を出したり、場所の提供という意味で費用の減免措置をしたり、移民の問題や、密入国者等の問題を解消するためには文化交流が必要だと考えています。
ウエリントンの中学生(13歳〜15歳)の受入を毎年実施しています。20数名*2週間で合計200名以上の受入をしました。こちらからも中学生を2〜3週間派遣しています。
B   子供をオーストラリアへホームステイに3週間ほど行かせましたが、帰ってきて1年ぐらいはメールのやり取りがあり、交流をしていました。その後、学校の勉強が忙しくなり、だんだん疎遠になってしまいました。今後は学校教育の問題も含めてもっとゆとりある学生時代を送れるよう考えてもらいたい(岡田理事長)
C   姉妹提携都市との提携を解消する動きは本当にあるのか?(山崎会員)
答え   提携したものの実際に動きの無いところは提携を解消しているところもあるが、堺市では今のところ解消は考えていない。
7 なんや衆へのアドバイス
@   現在国際理解セミナーを市主催で実施しているが、市民の皆さんから広くアイデアを頂いて、市が場所と講師の提供をし、市民団体の方々との協働という形を取り入れてゆきたいので、なんや衆からもさまざまな提言をいただきたい。また、民間の国際交流団体のみなさまが一堂に会する機会を増やしてゆきたい。(主幹/澤様)
A   市の役割としては、交流の場をご提供するのみとし、市民のみなさまが事業を継続していかれることを希望します。先導から支援に変わっても、皆さんと一緒に考え活動を進めてゆきたいと考えています。(松下様)
8 最後に   本日はまさに、Face to Faceで、いろいろ教えていただき、また質問にもお答えいただき有難うございました。
  先ほど、姉妹提携都市は1都市対1都市とのご発言がありましたが、連雲港市は堺市と20年、佐賀市とは徐福ということに限定して5年間友好都市提携が続いています
  費用対効果見直しの基準として「民間レベルでの交流の在り方」を入れ、世界の趨勢に合った視点に立って見直していただき、また、新庁舎完成の暁には場所の提供など市民活動団体の日常的な活動がスムースに行われるようご支援をお願いしたいと思っております。本日は長時間3人の方にご臨席を賜り本当に有難うございました。これで散会とさせていただきます。
以上